「リコピンとリコペンって何が違うの?」
「リコピンって効果あるの?」
健康のためにトマトジュース飲んでますという人は結構多いと思いますが、実はトマトジュースでリコピンを摂っても吸収率はそんなによくありません…。
今回は、抗酸化の栄養素としても有名な脂溶性のファイトケミカルであるリコピンについてご紹介いたします。
>>ファイトケミカルって何?主要な成分を脂溶性・水溶性ごとに表にまとめてみた
リコピンとリコペンの違いは?
赤色をしたカロテノイド系色素の一種です。
トマト・スイカ・ピンクグレープフルーツ・GABAなどに多く含まれています。
リコピンはLycopeneと書きます。
リコペンとも言われますが、Lycopeneのドイツ語読みがリコペンという読み方の違いです。英語読みではリコピンです。
リコピンの性質・機能・効果とは?
リコピンについては現在4000以上の出版物と、2000以上の論文が発表されています。
更に、1999年から2009年には人とトマト由来のリコピンについての健康の影響について調べられています。
海外の論文では心臓血管疾患・ガン・慢性疾患のリスク低下と関連していると言われています。
さらにに前立腺がんのリスクの低下の論文も発表されます。
また、抗酸化成分としての優秀さや喘息の改善についても調べられてます。
リコピンの性質・機能・効果をまとめると下記のとおりです。
- 抗酸化成分として優秀(βカロテンの2倍・ビタミンEの100倍の抗酸化力を持つ)
- 心臓血管疾患予防
- ガン予防
- 慢性疾患のリスク低下
- 前立腺がんのリスク予防
- 喘息の改善
リコピンについて、様々な論文が出ています。
しかし、FDAはリコピン摂取と前立腺や肺などのがんのリスク低下を裏付ける証拠は無いとしています。
これは、FDA基準を満たすヒト臨床試験が未だにないからです。
だからいくら論文があっても人に効果があるって言ってはいけないんですよね。
リコピンがオススメな人は?
リコピンは抗酸化力が高く、前立腺ガンや慢性疾患のリスクを低下させてくれる脂溶性のファイトケミカルです。
個人的には万人の方におすすめできるものだと思います。
生活習慣病の予防を考えると、20代後半の男性・女性にかかわらず誰しもがリコピンを毎日摂取すると良いでしょう。
リコピンの一日の推奨量は?
日本人のリコピンの推奨量は、残念ながらレポートされていません。
これはリコピンは健康の保持増進効果を確認したものではなく、分類上は一般食品になるため、安全性や推奨基準や上限量が定められていないからです。
ただ、海外の実験によると、30mg/日のリコピンを3週間前立腺ガンの患者に投与して20%ほど改善する可能性があると示唆した報告があります。
また、喘息に関しては45mg/日を7日間食事で投与すると改善する可能性があると示唆していたりします。
日本では治療のためにリコピンを使うことは法律的に難しいですが、日頃からリコピンを1mg〜5mg前後を摂ると良いのではないでしょうか?
ただ、後述しますが、トマトジュースでリコピンを取る場合はかなりの量が必要です。
なるべく脂肪と共に摂るほうが吸収率が上がって効率よくリコピンを摂取することが出来ます。
日本人のリコピンの平均摂取状況は?
日本人のリコピンの平均摂取状況は、残念ながらレポートされていません。
これはリコピンは健康の保持増進効果を確認したものではなく、分類上は一般食品になるため、安全性や推奨基準や上限量が定められていないからです。
海外におけるデータがありましたのでご紹介致します。
リコピンの平均摂取量
- イタリア:7.4mg/日
- アメリカ:6.5mg~10.4mg/日
- イギリス:1.1mg/日
- スペイン:1.6mg/日
- オーストラリア:3.8mg/日
- フランス:4.8mg
- オランダ:4.9mg
ジュースだと吸収率悪い?リコピンを食べ物で効果的に補給するには?
リコピンを毎日摂ろうと思って、手をだしがちなのがトマトジュースです。
確かに、トマトジュースは手軽にリコピンを摂取するには効率が良いでしょう。
しかし、ジュースの形でリコピンを10mg〜140mg摂取したとしても吸収されるのは平均で4.7mgであり、消費するジュースの量と吸収されたリコピンの量は比例していないということは海外の論文で言われていました。
なぜ、ジュースだと吸収率が悪いのでしょうか?
それは、リコピンが水溶性ではなく脂溶性のファイトケミカルだからです。ジュースは水なので脂溶性のファイトケミカルとは相性が悪く、上手く混ざらないため体にも吸収がされないからです。
リコピンはジュースの量が大切なのではなく、摂り方が大切です。
リコピンは脂溶性のファイトケミカルですので、脂肪酸で一緒に吸収すると吸収率がアップします。
実験によるとアボガド(脂肪酸として使用)を含むトマトサルサとアボガドの無いサルサは4.4倍も吸収率が上がったそうです。
また、リコピンの吸収を更に上げようと思ったら、腸内環境を良くしておくと良いでしょう。リコピンの吸収と腸内細菌(プロバイオティクス)の関係が海外の論文で報告されています。他の栄養素もそうですが、腸内環境が良いほうがリコピンの吸収率を上昇させるのです。
リコピンまとめ
- 抗酸化力はβカロテンの2倍・ビタミンEの100倍
- 海外の論文では数多くのデータが取られている
- 生活習慣病の予防という意味では万人にオススメ
- ジュースで摂っても一定量しか吸収されず、吸収率を上げるなら脂肪酸と混ざった料理が良い(ケッチャプやドレッシング・油で炒めたり)
- 毎日1mg〜5mgは脂肪酸と共に摂りたい
もしも、リコピンをサプリメントで取る場合は、サプリメントの選び方をきちんとしていないと無駄にしてしまう可能性がありますので、サプリメントの選び方も気をつけましょう。
>>サプリメントの選び方?無駄なサプリメントを避ける5つの選ぶ基準
参考資料:An update on the health effects of tomato lycopene. – NCBI – NIH