コレステロールと聞くと、どういうイメージをお持ちでしょうか?「コレステロールが上がると病気に近づくよね」「コレステロールって良くないよね?」
と言う感じで、コレステロールと聞くと、コレステロール=体内で害をなす=悪者という風にお考えではないでしょうか?
実は、コレステロールは悪ではないのです
悪玉コレステロールなんて、そのままの状態でいれば悪い影響は無いです。いわばグレる前の状態なんですね。
今回はそんなコレステロールの種類と働きについてご説明したいと思います。
コレステロールとは?
コレステロールとは細胞のあらゆるところにある脂質です。脳に1/4があり。神経系に1/3があると言われています。コレステロールはあらゆるところで働いているので、まさに体の中の便利屋とも言える存在だと言えます。
余談ですが、血液中のコレステロールをよく診断され、「卵ばかり食べるとコレステロールが気になる」と食事制限される方も沢山いると思いますが、食事を制限したからと言ってコレステロールが下がるのはほとんどありません。
食材によって影響を受けるのは1/4程度であり、残りの3/4は肝臓で自前で合成されます。
コレステロールが高いと『大変』とか『危険』とか聞きますし、実際問題怖いものだと思いますが、しかしながらコレステロールにも良いコレステロールと悪いコレステロールがいます。
コレステロール数値は高くても問題なし?
コレステロールが高いと、病気なると聞いたことはありませんか?
しかし、実際に驚くべきことがアメリカやヨーロッパの追跡調査でも証明されています。一般的に厚生労働省で定められている高コレステロールの値は、220以上とされています。そこで、死亡率とコレステロールの関係です。
コレステロール値が低い方が死亡率が高い?
コレステロール値が200の人を1とした時に、コレステロール値が180の人は、2.5倍の死亡率。コレステロール値が240-280の人は、死亡率が一番低いという実験結果が出されています。
ただ、一方で、コレステロールが280以上になると、死亡率が180の2番目に高くなるというデータも出ています。高すぎるのも良くないですね
コレステロールは高いままでも問題ない?
ここで、じゃあコレステロールは高いままで良いの?というと、それも疑問符がつきます。というのも、コレステロールは参加されると血管に蓄積しやすく、動脈硬化になるとも言われているからでっす。
昔からイギリスや北欧などに比べてフランスやイタリアなどでは心筋梗塞で亡くなる人が少ないことが知られていましたが、これは赤ワインに含まれる抗酸化物質(ポリフェノール)のせいだ、というのです。コレステロールは酸化されると血管に蓄積しやすいので、これを防ぐことができれば動脈硬化になりにくい、だからワインの消費量の多い南ヨーロッパでは動脈硬化が少ない
と言われています。動脈硬化の原因は、酸化したコレステロールが血管のなかで溜まってしまい、血流を悪くすることです。その結果プラークが生じ、そこが動脈硬化になると言われていますが、そのメカニズムは現在も定かではないということです。
コレステロールの問題は数値ではない?
このお話から分かるとおり、コレステロールの問題点は、悪玉コレステロールがグレた時。つまり、酸化した時なのです。
仲良く付き合う方法、それはいかにコレステロールを酸化させないか。血圧を低くするかといった点です。
コレステロールを酸化させない方法とは?
コレステロールを参加させない方法は主に2つです。
抗酸化栄養素を取る
酸化とは活性酸素が結び付くことで錆びることを言います。
酸化させない為には抗酸化栄養素が必要です。抗酸化栄養素は、ビタミン・ミネラル・植物栄養素のことを言います。
つまり、普段から栄養を十分に摂っておけば、酸化する可能性を防ぐことは十分に可能だなのです。抗酸化は一日にしてならずとは言いませんが、それと同じくらい大事です。
血圧を低くする
あくまでも取り過ぎない範囲での血圧を低くするということです。
あまり控え過ぎると、血圧が低いせいで、毛細血管まで血流が届かなくなってしまい、栄養素が全身に十分に行き渡らない可能性も否定出来ないそうなので、十分に注意して下さい。
善玉?悪玉?コレステロールの種類って何?
コレステロールには2種類あって善玉のコレステロールと悪玉のコレステロールがあります。
しかしながら、悪玉だからといって悪であると言うわけでもないんです。
善玉・悪玉の違いとは何でしょうか?
善玉コレステロールって何?
善玉コレステロールは、HDLとも呼ばれています。これは、ハイデンシティリポプロテインの略になります。
プロテインということはこの言葉からもわかりますが、このハイというのは、コレステロールに比べてタンパク質の比重が多いということを指します。
コレステロールは肝臓で作られます。善玉コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを肝臓に戻す役割を担っています。
身体中に散らばってしまったコレステロールを肝臓に戻すということですから、お片づけをするコレステロールと覚えておくと良いと思います。善い人ですから、善玉ですよね。
悪玉コレストレロールって何?
善玉コレステロールがお片づけをするコレステロールということは、悪玉コレステロールはやっぱり悪いイメージがあるといえばそうでもありません。
悪玉コレステロールとは、LDLと呼ばれます。ロウデンシティリポプロテインの略です。
こちらもプロテインということで、タンパク質ということは言葉からわかりますが、ロウというのは、コレステロールに比べてタンパク質の比重が少ないということを指します。
悪玉コレステロールとは、肝臓で作られたコレステロールを末端組織に運ぶという役割をしています。
コレステロールを身体中に散らばらせるということをしますから、散らかす=悪い人だから、悪玉というイメージがありますが、後述するコレステロールの4つの働きがわかることで、「悪玉コレステロールがなかったらダメじゃん」って思うことができるはずで。
散らかすという意味では悪いんだけど、必要悪?ちょっぴりつっぱりだけど優しさを持ち合わせているのが、悪玉コレステロールですので、優しいヤンキーみたいなイメージですね。
善玉・悪玉の違いをまとめてみた
善玉と悪玉の違いを表にまとめると下記のような感じです。
役割 | お片づけ | |
善玉 | 肝臓で作られたコレステロールを肝臓に戻す | ○ |
悪玉 | 肝臓で作られたコレストレールを末端組織に運ぶ | × |
イメージとして考えますと、悪玉が散らかし、善玉は自分で片付けるようなイメージ。
コレステロールの役割とは?
コレステロールと聞くと悪いイメージがあると思われるかもしれませんが、実は体内にはコレステロールが不可欠なのです。それではコレステロールの4つの働きを見てみましょう。
コレステロールは細胞膜の材料
体の中に細胞は60兆個あります。コレステロールは体の中に60兆ある細胞にとって、なくてはならない細胞膜の材料の一つになります。コレステロールは溶けにくいので、細胞膜として細胞の中の水を勝手に出入りできないようにします。
細胞膜というのは、細胞の中の環境を保ち細胞外からのシグナルを受け取るといった、体にとって非常に重要な役割を担います。
もしも細胞膜の状態が悪く、細胞間の神経伝達物質の交換が上手くいかないと、精神的に不調が出てしまいます。これをうつ病と呼びます。つまり、コレステロール不足はうつ病の原因とも呼ばれています。
またコレステロールの低下により、細胞膜の材料が不足することにより、免疫機能が低下。脳出血も多くなるそうです。
コレステロールは副腎皮質ホルモンや女性ホルモンを作る
コレステロールは副腎皮質ホルモンや性ホルモンと言う人間が生きる上でなくてならないホルモンの構成材料となります。
副腎皮質ホルモンが不足するとどうなるのでしょうか?下記にまとめてみました。
- 元気が無くなる
- 疲れやすくなる
- また食欲が落ちる
副腎皮質ホルモンの一つにコルチゾールホルモンというものがあります。これがストレス耐性のステロイドホルモンとも言われています。コルチゾールホルモンの方が、性ホルモンよりも優先順位が高く作られてしまうのです。ストレスに晒された毎日を続けていると、性ホルモンの分泌を減らし、ステロイドホルモンを多く分泌するようになる。
また、性ホルモンが少ないからと言ってホルモン剤を打たれるケースがありますが、生態機能が停止するそうなので、注意が必要です。これは、ホルモン剤を打たれることで、体が誤解し、ホルモンを分泌しなくても良いと判断して作られなくなるのだそうです。
では、ホルモン剤を止めれば解決するの?という疑問が生まれそうですが、そう簡単ではありません。ホルモン剤で性巣でのホルモン分泌が妨げられた結果、その機能が低下してしまうため、止めるタイミングが難しいそうです。
特に、女性特有の問題として更年期障害がありますが、その時にもコレステロールが十分にあれば症状が軽くなると言われています。
不妊治療などに来る女性は、女性ホルモンの分泌に問題がある場合があり、ここでも検査の結果「コレステロール」が低いという場合が多いのだそうです。
コレステロールは胆汁酸の構成材料
また、コレステロールは胆汁酸の構成材料になります。胆汁酸は脂肪やビタミンの消化吸収を助けます。
動脈硬化の問題とも言われているの胆汁酸の出し過ぎは注意が必要ですが、それでもコレステロールが適量になければ、人間は生きていけなくなってしまうのです。
コレステロールはビタミンDの材料になる
ビタミンDは紫外線によってヒトの体内で合成されるビタミンです。その合成の際にコレステロールが必要になります。ビタミンDは骨を丈夫にしたりアレルギーの治療や腸内環境を整備したりと、大変に重要なビタミンになります。
コレステロールの数値が低いとどうなるの?
コレステロールが不足すると死亡率が上がる
コレステロールを下げると死亡率が上がります。確かに心疾患系の死亡率は下がりますが、自殺やガンなどが増えてしまうのです。
世界各地で行われたこの調査は、食事療法や薬物療法でコレステロールを下げて、虚血性心疾患がどのくらい減るかを見たもの。その結果、コレステロールが下がると確かに虚血性心疾患による死亡率は下がるものの、自殺やガン、事故死が増え、全死亡率で見てもコレステロールを下げた群が高くなりました
引用:日本食肉消費総合センター
コレステロールが不足することにより細胞膜の受容体の機能が低下していまう結果、セロトニンの受取が上手く行かなくなりうつ症状になってしまうのです。
コレステロールの不足で更年期障害に?
コレステロールはホルモンの材料になります。コレステロールが不足してしまうとホルモンの材料が不足してしまうので、女性ホルモンの材料もなくなってしまいます。その結果、更年期障害のような症状が出てくる可能性があると言われています。
コレステロール不足はエネルギー不足
生体内でコレステロールを合成する時に必要なのはアセチルCoAという補酵素になります。このアセチルCoAは体のエネルギーの源であるATPの材料でもあります。人体は生命維持をする上で必要な体のエネルギーであるATPの合成を最優先にしますから、コレステロールが不足している方というのは、ATPが十分に合成出来ていない可能性があります。
コレステロールまとめ
- コレステロールはあらゆるところにある脂質のこと
- 細胞膜の材料・ホルモン・ビタミンDの材料になる
- コレステロールが不足するとうつ病・死亡率が増加する
- コレステロールは低すぎても問題である
病気と診断されてしまったら、コレステロール降下剤を飲むことになります。
しかしながら、薬には副作用があります。コレステロール降下剤は、コレステロールが不足しますから、うつ病の原因になったり、突発的な自殺衝動が起こったりする副作用もあるそうです。
ただ、もしコレステロールを下げるといった話になったら、なるべく副作用の出ないものや生活習慣で改善できれば良いですよね。そうならない前に、病気と診断される前から、抗酸化を行うことをオススメします。ただ、このお話は一概に言い切れないのも、苦い事実です。お医者さんの間でも、
「抗酸化をすれば大丈夫」という人と、「コレステロールを下げなければいけない!」という人どちらの立場もいらっしゃいます。
お医者さんの間でも意見が対立している、コレステロールを下げるか否かという問題ですので、その問題に直面する前からの早めのケアをオススメします。
コレステロールのことをよく理解して、上手く関わっていきたいところですね。
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