たまに健康に詳しい人や意識している人の話を聞くと出て来る言葉に「五行」という言葉があります。古代中国に起源がある自然哲学的な思想です。これに中国春秋戦国時代に発生した、引用思想が合わさることで、別名陰陽五行説とか、陰陽五行思想なんかと言われたりします。
この五行という思想を五臓に当てはめたものを使うことが、健康に詳しい方がよくいう「五行」の考え方になります。
今回は五行の説明と健康を五行で維持しようとするメリットとデメリットについてまとめてみました。
因果の照明が難しい…事実の積み重ねから進化してきた理論
五行と言うのは何千年もの歴史の中で、実際に経験した事柄から成立した理論です。そのため、因果関係で説明する現代医学である西洋医学から考えると説明できないことが多数あるとも言われています。伝統医学というのはどちらかというと統計学的な考え方です。因果関係は説明できませんが、そうであるということが良くあるのです。五臓五腑の概念もこの五行思想から来ていると言われています。
西洋医学の臓器である肝臓と東洋医学の肝は全くの別物である。
五行のそれぞれの内容について
それでは五行のそれぞれの内容について説明していきましょう。先に五行・五臓・五腑の早見表を作成してみましたので、そちらをご覧ください。
五行・五臓・五腑早見表を作ってみた
五行 | 五臓 | 五腑 | 役割 | 食べ物 |
木 | 肝 | 胆 | 気・血の流れ | 【酸っぱいもの】ねぎ・しそ・春菊・ほうれん草・ピーマン・山菜・ニラ・きゅうりなど |
火 | 心 | 小腸 | 血の流れ・精神活動 | 【苦いもの・赤いもの】肉・魚・人参・トマト・スイカ・クコの実 |
土 | 脾 | 胃 | 消化・栄養 | 【甘いもの・黄色いもの】銀杏・かぼちゃ・豆腐・みそ・油揚げ・ゆず・大豆・とうもろこし |
金 | 肺 | 大腸 | 免疫力・バリア機能 | 【辛いもの・白いもの】ご飯・パン・パスタ・牛乳・ヨーグルト・大根・かぶ・白菜・キャベツ |
水 | 腎 | 膀胱 | 生命・老化・成長 | 【塩辛いもの・黒い食べ物】きのこ・昆布・わかめ・こんにゃく・しいたけ・ごぼう・のり・豆 |
木(肝・胆)について
東洋医学で言う肝とは、気や血を巡らし、血を保存する役割があると言われています。肝臓と同じ肝という字を使うからといって、西洋医学で言われている肝臓とここでいう肝というのは似ていますが、少し異なります。東洋医学的にいう肝というのは、西洋医学的な肝臓の意味も含めますが、さらに新陳代謝、情緒の安定、さまざまな器官の調節作用など、幅広いう意味で捉えられます。
- 新陳代謝のコントロール・老廃物の回収
- 爪・目・人体・筋肉・各種器官の機能調節
- 血液の循環や血液を貯蔵する機能もある
- 自律神経にも関与している
火(心・小腸)について
火は燃えるように広がる様を表しています。そのため、火は体を温める作用や、血の循環作用といったものを表しています。また、火は心であり、精神活動の役割を担っているとも言われています。現代医学の心臓とだけでなく、循環器系に関係する臓器と機能のことについても司っている。
- 精神的な活動(睡眠含む)のコントロール
- 血液循環器系の機能である心臓や血管系の機能のコントロール
土(脾・胃)について
土は全てを育むとも言われています。気や血や水を全身に運搬すると言われており、血が漏れないように調整する作用があるとも言われています。主に消化器系の機能を司っていると言われています。
- 血液の運行をコントロール
- 全身の血管や肌や筋肉を養う
- 胃下垂などを防ぐ作用
- 消化器系の機能をコントロールする
金(肺・大腸)について
金は一言で言えば体の機関を統括する役割があります。栄養の循環や調整をするのも金の役割です。また、肺から気が出ているとし、外から来る病気の原因である邪気から体を守るとも言われています。このバリア機能の低下が風邪をひきやすくしたりアレルギー症状がみられると言われています。鼻とも関係があり、鼻づまりについても肺と関係があると言われています。
呼吸器系だけでなく、皮膚、鼻、喉、気管支、体温調節、免疫機能も含まれる。また、肺は水分調節とも密接に関わっており、腎にも影響を与えると言われています。
- 呼吸器系のコントロール
- 皮膚、鼻、喉、気管支、体温調節、免疫機能のコントロール
- 体内の水分を調節する
- 体温調節機能もある
水(腎・膀胱)について
水は生命活動に最も必要なものです。そのため、水に属する腎も生命活動・成長発育を担っています。また、人は成長発育だけでなく、生殖活動も担っていると言われています。水に属する腎は身体の中の水を蓄える役割も担っていると言われています。
現代医学の腎臓だけでなく、生殖器系・ホルモン系・中枢神経系・造血系などの生命エネルギーに関係するものに密接に関わっています。
- 成長と発育を促進する
- 生殖機能をコントロール
- 体内の水分を管理して尿として排出
五行を活用して健康になろう
五行理論について説明してきました。五行理論は中医学では有名な理論ですので、少しでも活かせるものは活用して、健康を目指しても良いのではないでしょうか?