睡眠に重要だと言われているホルモンと言えばメラトニン。今回はそんなメラトニンについてご紹介したいと思います。
メラトニンとは?
メラトニンは夜の時刻情報伝達物質とも言われていて、自然な眠りを誘発するためのホルモンと言われています。脳の松果体という部分から出てくるホルモンだと言われていましたが、近年では松果体以外の様々な場所でも合成されることが明らかになりました。
大体、人が目覚めてから14時間〜16時間したあたりから自然と分泌されてくるホルモンだと言われています。
大体起きてから14時間くらいして眠くなってくるのはこのホルモンのせいだと言えます。
メラトニンの性質・機能・効果とは?
メラトニンの性質としてもっと有名なのが夜だということを体に教えるという役割です。これは、夜になると血液の中のメラトニンの量が大きくなることで、体に夜だということを知らせることになります。
またこの夜の情報伝達という機能については加齢とともに減っていくと言われています。1〜3歳が血中のメラトニンの量は最も多く、思春期以降に減少していき、70歳になると10分の1しか分泌していないのです。
この夜の情報伝達という機能は光にさらされていると効果が弱くなると言われています。それまでは強い光に当たると失われると思われていましたが、近年の研究によると長時間の弱い光でも夜の情報伝達という機能は失われるそうです。また、スマホやPCから発するブルーライトは最も減少する可能性があると言われています。これが不眠症の原因になるのです。
睡眠の性質だけが知られているメラトニンですが、実は睡眠だけではありません。その効果は多岐にわたります。
例えば、メラトニンはフリーラジカルや活性酸素を消去する抗酸化物質としての性質を併せ持つことが明らかとなっています。長期投与されたラットに置いては寿命を伸ばしたり、アルツハイマーや骨粗鬆症の進行を抑えたりするといったデータが見受けられます。
抗酸化作用としてはあの有名なグルタチオンの5倍の抗酸化作用があるという報告もあるそうです。
メラトニンに直接ヒドロキシルラジカル(HO・)を消去する能力があること,またその能力はグルタチオンの約5倍であることを報告した。
LINKメラトニンとエイジング
また、認知症の原因とされているアミロイドβの抑制の可能性もあると言う報告もあります。
特に興味深いのはアミロイドβの添加によって生じる神経細胞死を抑制したり,アミロイドβ自身の重合を抑制したり,最近では,アルツハイマー病やパーキンソン病モデルマウスをはじめとして,酸化ストレスや炎症を与えた多くの動物実験から,メラトニンには神経細胞を守る効果があることが報告されている。
LINKメラトニンとエイジング
メラトニンの性質・機能・効果をまとめると下記のとおりです
- 夜の情報伝達物質
- 睡眠を誘導する
- 1~3歳が最も多く、思春期以降は低下、70歳になると10分の1
- 抗酸化作用があり、グルタチオンの5倍の抗酸化作用があると言われている
- 神経細胞死を抑制し、アミロイドβ自体の抑制
こういった報告はラットにおける効果だと言われおり、ヒトの研究も少しずつ進んでいるそうです。
メラトニンが体内から不足すると?
メラトニンが体内から不足するとどういうことが起こるでしょうか?よく言われていることが、不眠症の原因になると言われていことです。メラトニンは夜の情報伝達という性質上、体に夜だということを教えます。その結果、体内に睡眠を促す効果がありますが、メラトニンが不足すると、眠れない夜が続くのだそうです…。
また、メラトニンが不足をすると下記のようなことが報告されていると言われています。
アルツハイマー病,冠動脈性心疾患,乳がんや前立腺がんの患者において,夜間の血中メラトニン濃度が有意に低いことが報告されている。最近,メラトニンの夜間の分泌量の低下が2型糖尿病の発症リスクを高めることが,比較的大規模な症例対照研究により報告された
LINKメラトニンとエイジング
メラトニンが不足すると起こる影響は下記のとおりです。いずれも可能性になります。
- 不眠症になりやすくなる可能性
- 抗酸化作用の低下
- 認知症になりやすくなる可能性
- 骨粗鬆症になりやすくなる可能性
メラトニンを意識したケアがオススメな人は?
加齢とともに減少していくメラトニンですので、メラトニンを意識したケアは年を取った人は誰もでもやるべきかなと思います。特に不眠症の可能性がある人は、率先して日頃から出来ることを始めてみても良いのかなと思います。
日頃から出来るメラトニンケア方法とは?
下記に、日頃から出来るメラトニンのケア方法をまとめてみました。
ブルーライトカットの眼鏡を寝る直前までつける
本当はスマートフォンやパソコンから離れて下さいというのが良いのかもしれませんが、このご時世ですから、そんなことはできませんよね?ですので、おすすめはブルーライトカットの眼鏡を寝る直前までつけ続けることです。
使用群の方が有意に高値を示し,また睡眠潜時(入眠までの時間)の有意な短縮と睡眠効率の有意な増加(夜中に覚醒する割合の有意な減少)がみられた
LINKメラトニンとエイジング
ブルーライトカットの眼鏡は安い眼鏡屋さんに行けば5000円とかのオプション料を払えば作れたりしますので、見て見ると良いかなと思います。
カフェインを控える
カフェインを控えることでもメラトニンの総量が上がると言われています。寝る前にカフェインを取るなと言うことはあながち間違えではないので、もしも不眠症かもなと思う人がいたら寝る前にカフェインを取ることを止めましょう。
タンパク質を摂取する
メラトニンもホルモンでありタンパク質の一種になります。体内のタンパク質が少なくなってしまうとホルモンの総量も少なくなってしまいますから、十分なタンパク質量を摂っておきたいですよね。
タンパク質についてはタンパク質不足は危険!?タンパク質過剰摂取も危険!?タンパク質についての真実を調べてみた!でも書きましたが、タンパク質は体重kgをgにした量が必要になります。意外に摂れている方は少ないので意識的に摂ってみると良いかもしれません
1日に必要なタンパク質はkgをgに直した数字と言われています。
体重が60kgの人は60g・体重が100kgの人は100gが必要になります。
また、筋トレをする人はタンパク質を多めに取ると良いと言われています。これは筋肉を作る時に大量のアミノ酸が必要になるので、筋トレをしている人は、1.5倍から2倍のタンパク質を摂ることがオススメです。
オメガ3系を摂取する
ホルモンは細胞の膜にある受容体と反応することにより効果を発揮する性質があります。人間のホルモンの種類とは?主要なホルモン40種類の名称と役割まとめ!でもまとめておりますが、オメガ3系を摂取することにより、細胞膜の性質を向上させることが出来るとも言われています。
膜に取り込まれたω3系脂肪酸は構成脂肪酸組成を変えることで膜流動性を増加させ, 膜に結合した各種の酵素・受容体・輸送タンパクな どに影響を及ぼし, 関連した細胞内情報伝達系などを介して生理機能を発揮することが出来る。
LINKω3系脂肪酸と認知機能
米・大麦・しいたけ・トマト・セントジョーンズワートを飲む
メラトニンは水と混ぜることで摂取することも出来ると言われています。そして血液脳関門を容易にする抜けることができるかつ副作用も報告されていないそうです。すなわち、食べて摂取することも可能ということです。
野菜やハーブなんかにもメラトニンは存在することが確認されており、米やしいたけなどを食べることでも補給することが出来ると言われています。海外ではうつ病の薬として使われているハーブであるセントジョーンズワートにもメラトニンが多く含まれているということ。
米,大麦,シイタケ,トマトをはじめとする様々な食用植物やセントジョーンズワートなどの薬用植物にもメラトニンの存在が報告
LINKメラトニンとエイジング
ちなみに、メラトニンの合成経路の合成経路ですが下記の通りになります。
トリプトファン➔5−ヒドロキシトリプトファン➔セロトニン➔N-アセチルセロトニン➔メラトニン
すなわちトリプトファン➔セロトニン➔メラトニンという流れになりますので、メラトニンをケアするということは、体内におけるトリプトファンとセロトニンをケアすることと同じだと言えます。トリプトファンとセロトニンのケアも行いましょう!
メラトニンまとめ
- メラトニンが不足すると不眠症や抗酸化力の低下に繋がる
- メラトニンは70歳になると10分の1に低下する
- メラトニンをケアするにはブルーライトカットやカフェインを控えることも効果的
- 栄養素的に言えばタンパク質やオメガを摂ることも良い
- 直接的に摂取するならメラトニンの入っている野菜やセントジョーンズワートを飲む
メラトニンは薬扱いになりますので、病気と診断されていない人がメラトニンを飲むことは出来ません。サプリメントにメラトニンを直接配合することも禁止されています。そのため、トリプトファンの形で配合されているサプリメントやセントジョーンズワートなどのサプリメントをメラトニンのために飲むと良いと言われています。
何れにせよ、サプリメントは選び方を間違えると効果がないだけでなく、何かしらの害になる可能性もふくまれています。ぜひ、サプリメントの選び方には慎重になりたいところですね。