ビタミンAやCやBはもはや知名度が抜群で知らない人はいないんじゃないんかな?って思うくらいになっているビタミンD
しかし、まだまだ知名度も低いでしょう。
実は今、最も注目されている栄養素なのかもしれません
ビタミンDとは?
ビタミンDは体内で作ることが出来る栄養素です。え?それだったら不足するわけないじゃん。そう思われがちですが、今、世界の人口の50%がビタミンD不足により死亡率が高まっていると言われています。
ビタミンDが生産される為に必要なのが紫外線であるUVBを30分間浴び続けることです。しかしながら、現代人は外にほとんど出歩かない上に、 紫外線対策として日焼け止めをぬったり服を着たりしています。その結果、ビタミンDが不足してしまっているのです。
なお、ビタミンDとはビタミンD2とビタミンD3の総称になります。ビタミンD2は植物が作るビタミンDであり、ビタミンD3は動物が作るビタミンDとなるのです。
ビタミンDの性質・機能・効果とは?
ビタミンDは脂溶性のビタミンであり、ステロイドホルモンとして使われると言われています。
ビタミンDは広範囲に影響を与えるビタミンで、最注目されています。骨、腸、免疫、心血管、膵臓、筋肉、能、細胞周期の制御に影響を与えると言われています。
ビタミンDは、細胞増殖の減少や細胞の分化の増加させることをコントロールし、抗炎症作用もあると言われています。臨床データを見てみると、癌についても効果があるとされ、高いビタミンD濃度の被験者は低濃度の被験者よりも大腸癌と診断される可能性が半分であり、乳癌のリスクも低下しているという研究結果もあります。
心臓病についても抗炎症作用から効果的だとするデータもあります。また、高血圧についてもビタミンDが十分な人とそうでない人を比べると、ビタミンDが十分な人の方が優位に低かったというデータもあります。
肥満において、ビタミンDの濃度とBMI・ウエスト・体脂肪は逆相関し、年齢、除脂肪体重はビタミンDと正の相関があると言われています。つまりビタミンDを摂ることはダイエットにも効果的なのです。
また、インフルエンザについても1日にビタミンDを1200IU追加した子供はA型インフルエンザになる可能性が下がったというデータもあります。
腸内環境の再生にもビタミンDは効果が高いと言われています。マウスを用いた研究によるとビタミンDを余分に取ることにより腸内で善玉菌が回復したと言われています。腸と腸の隙間にあるタイトジャンクションがしっかりと密接に結合するということも言われています。
ビタミンDを摂取することにより妊娠しやすい体になります。精巣・卵巣などの生殖器にビタミンDが分布されており、卵子の供給量であるAMHと相関があり、多峰性卵巣の改善が期待でき、着床時に必要にある遺伝子発現を誘導します。また、妊娠中に特有な妊娠高血圧や妊娠糖尿病などとも関連があります。男性では、良好な精液には適度なビタミンD濃度が必要であるとも言われているのです。
他にも、糖尿病やうつ病、認知障害機能、パーキンソン病、骨折、自己免疫疾患、加齢黄斑変性などにも効果あるとするデータがあります。
ビタミンDの性質・機能・効果をまとめると下記のとおりです
- 骨、腸、免疫、心血管、膵臓、筋肉、能、細胞周期の制御に影響をあたえる
- 抗炎症作用も期待される
- 腸内環境を整わせることが出来る
- 妊娠しやすい体になる
ビタミンDが不足すると?
ビタミンDが不足することにより骨やリンの代謝が悪くなることから、骨が脆くなるということが言われています。また、ビタミンDの不足は筋肉が減少するというデータもあります。
ビタミンDが不足すると起こる影響は下記のとおりです
- 妊娠しにくい体になる
- 腸内環境が悪化する
- 骨がもろくなり筋肉が低下する
ビタミンDがオススメな人は?
ビタミンDを特に注意して摂取したほうが良いのは下記の人たちです
授乳中の乳児を持つ母親。赤ちゃんは自分から率先して栄養を補給することが出来ません。母体の栄養素が大切になります。米国小児科学会(AAP)は、母乳栄養分の乳児には、1日当たり400IUのビタミンDを補給することを推奨しています。
高齢者。高齢者は皮膚から効率的にビタミンDを作り出すことが出来ません。そして屋内での活動も増えてしまうため、必然的にビタミンDが少なくなってしまいます。
日当たりが限られている人。宗教上の理由でベールを着なければならなかったり、外に出歩くことが無い引きこもりの人の場合だと日光を浴びる時間が少ないので、ビタミンDが不足しがちです。
黒人の方。メラニン色素が多く紫外線を吸収してしまうので、ビタミンD不足になりがちです。
脂肪吸収能力が低い人。ビタミンDは脂溶性のビタミンですので、食事からの脂肪を吸収する能力が低い人はビタミンDが不足しがちになります。
ビタミンDの一日の推奨量は?
日本で発表されているデータによるとビタミンDの1日の推奨量ですが、20代以上の男女では5.5μgが目安量とされています。妊婦さんになると7μgで生まれたばかりの赤ちゃんがいる人になると8μgと言われています。
欧州臨床薬学協会であるEuropean Society of Clinical Pharmacy(ESCP)における一日の推奨量は、少なくとも2倍から3倍のビタミンDが与えられるべきであると言っている。
1才児であれば1000IUなので、大体25μgが必要だとしています。また、19歳以上の方であれば1500IU〜2000IUが必要と言われていますので、大体37.5μg〜50μgが必要だということになります。
ちなみに、日光に30分当たって出来るビタミンDの量は700IUから800IUと言われており、大体17.5μg〜20μgだといわれています。つまり、ESCPによると19歳以上の方は大体20μgほどを補給することが重要なのです。
日本人のビタミンDの平均摂取状況は?
日本人のビタミンDの平均摂取量は7.5μgであり推奨量を満たしていると言われています。
これ以上飲んではいけないという耐用上限量ですが、乳幼児だと大体30μg・10歳までの子供だと40μgであり、18歳以上になると100μgが耐用上限量だと言われています。
ビタミンDを食べ物で補給するには?
ビタミンDは天然の食べ物ですべてを補給することが難しくサプリメントを併用したほうが良いとされています。
きのこ・きくらげ・しいたけ・しめじなどのきのこ類に多く含まれます。サーモン・サバ・ニシン・いわし・かつおなどの魚介類や卵黄に多く含まれます。
ビタミンDは脂溶性のビタミンですので、脂と一緒に補給したほうが吸収がされやすいですので、調理の方法を考えると良いでしょう。
サプリメントは玉石混交であり、良いサプリメントと悪いサプリメントの選び方を熟知することは大変重要になってきます。興味のある方は下記をご覧ください。
ビタミンDまとめ
- 骨、腸、免疫、心血管、膵臓、筋肉、能、細胞周期の制御に影響を与える
- 妊娠しやすい体を作る
- 日本の基準では足りているが、欧州の基準だと全然足りない
- 欧州基準だと日光に浴びても20μgほどの補給が必要
- サプリメントで補うことが望ましい
参考:クローン病における腸管透過性、カテリシジンおよび疾患マーカーに対するビタミンD補充の影響:無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果
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